各試薬の違い
測定法
AMY
非還元末端を修飾保護したエチリデン-パラニトロフェニル-α-D-マルトヘプタオシド(Et-G
7-pNP)を
基質として用い、α-アミラーゼの作用により生成するpNP-G
2~pNP-G
4に共役酵素であるα-グルコシダーゼ(α-GH)を作用させてパラニトロフェノール(pNP)を遊離させ、pNPの生成に伴う吸光度の増加速度を測定することによりα-アミラーゼ活性を求めます。
P-AMY
検体中のアミラーゼアイソザイムのS型、P型アミラーゼのうち、S型アミラーゼのみを特異的に阻害するモノクローナル抗体を用い、S型アミラーゼのみを阻害します。
残存しているP型アミラーゼにより非還元末端を修飾保護したエチリデン-パラニトロフェニル-α-D-マルトヘプタオシド(Et-G
7-pNP)
は加水分解を受けpNP-G
2~pNP-G
4を生成します。
これに共役酵素であるα-グルコシダーゼ(α-GH)を作用させてパラニトロフェノール(pNP)を遊離させ、pNPの生成に伴う吸光度の増加速度を測定することによりP型アミラーゼ活性を求めます。
測定意義
血中にはα-アミラーゼの阻害剤は存在せず、また、腸管から吸収されないため、血中のα-アミラーゼ活性は、通常、膵臓及び唾液腺から血中に入る酵素に由来します。
膵臓あるいは唾液腺が閉塞している場合や、これらに炎症がある場合には多量のα-アミラーゼが直接(門脈など)、あるいはリンパ管を介して血中に流入するため、血中のα-アミラーゼ活性が上昇します。
しかしながら、血中α-アミラーゼの半減期は短いため、α-アミラーゼ活性値は24時間以内に正常値に復帰します。
したがって、血中のα-アミラーゼ活性の測定はα-アミラーゼが継続的に血中に逸脱しているような疾患(急性膵炎、慢性膵炎などの膵疾患、急性耳下腺炎、消化管穿孔など)の鑑別診断に役立ちます。
膵疾患とそれ以外の疾患を区別するためには、膵臓に特異的なアミラーゼアイソザイムのP-AMYも測定することが必要です。P-AMYも血中から尿中へ速やかに排泄されるため、P-AMY活性/(総アミラーゼ活性)比を
経時的に測定することによって、診断の特異性が向上し、経過観察の指標としても有用です。
AMY低値) |
膵癌、慢性膵炎 等 |
AMY高値) |
急性膵炎、慢性膵炎、膵癌、急性耳下腺炎、腸閉塞、子宮外妊娠、アミラーゼ産生腫瘍 等 |
P-AMY低値) |
膵疾患による膵実質の荒廃、膵全摘または広範囲の切除、重症糖尿病 等 |
P-AMY高値) |
膵疾患、膵障害の合併、薬剤性膵炎、膵液の消化管からの漏出、膵液の逆流 等 |
AMY参考基準範囲
血清 |
37~125U/L |
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加藤 隆則他:医学検査 Vol.53,No.4,411,2004. |
尿 |
50~500U/L |
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金井 他,臨床検査法提要,改訂34版,p.564,2015. |
P-AMY参考基準範囲
血清 |
16~52U/L |
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加藤 隆則他:医学検査 Vol.53,No.4,411,2004. |
尿 |
11~383U/L |
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社内データ、417例よりパラメトリック法にて算出 |