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血清鉄測定用「セロテック」Fe-L

Fe測定方法について

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Nitroso-PSAP法 バソフェナントロリン法 原子吸光分析法 国際標準法

Nitroso-PSAP法

測定原理


 検体中の鉄(Fe)はグロブリン中のトランスフェリンと結合しています。
このトランスフェリンと結合しているFe3+を酸性下で遊離させ、還元剤でFe2+に還元します。
 Fe2+は2-ニトロソ-5-(N-プロピル-N-スルホプロピルアミノ)フェノール(Nitroso-PSAP)とキレート化合物を作り発色しますので、これを比色測定することにより検体中の鉄濃度を求める方法です。

psapfig
Nitroso-PSAPの構造


Nitroso-PSAP-Fe2+キレートの性質


吸収極大波長: 756nm
測定至適pH: 5.6~10.1
モル吸光係数ε(×104):4.5

 Nitroro-PSAPは他の金属ともキレート形成しますが、そのキレートは756nm付近に吸収を示さないので、Fe2+のみを選択的に定量できる性質があります。

Nitroso-PSAP-Fe錯体予想図 正八面体で配位すると予想される

バソフェナントロリン法

測定原理


 試料に還元剤(アスコルビン酸)と界面活性剤を含む緩衝剤を加えると、血清蛋白が変性し、結合していた鉄が遊離します。遊離した鉄のうちFe3+は、アスコルビン酸によりFe2+に還元され、発色試液に含まれるバソフェナントロリンスルホン酸ナトリウムとキレート化合物を生成し赤色を呈します。この赤色の吸光度を測定することにより試料中の鉄濃度を求める方法です。






バソフェナントロリンスルホン酸ナトリウムの構造

    

バソフェナントロリンスルホン酸ナトリウム-Fe2+キレートの性質

吸収極大波長: 535nm
酸解離定数:pka1=2.83,pka2=5.20
モル吸光係数ε(×104):2.24


バソフェナントロリンスルホン酸ナトリウム-Fe錯体構造 正八面体で配位する

原子吸光分析法

測定原理


 原子吸光分析法は、高温(通常1,700~2,700℃)中に試料溶液の霧を噴霧し分子を構成原子に熱分解させて、この原子蒸気にその原子固有の波長の光(共鳴線)を照射すると、原子は共鳴線を吸収します(原子吸収)。この時、基底状態の原子は光のエネルギーを吸収して最外殻の電子が、より高いエネルギー順位に移って励起状態になります。この吸光度の測定から試料溶液中の目的元素の濃度を求める方法です。


原子吸光分析法模式図

国際標準法

測定原理


 ICSH(国際血液学標準協議会;International Council for Standardization in Haematology)の標準法で、血清に同容量の還元剤のチオグリコール酸とトリクロロ酢酸を加えて除蛋白処理し、その上清にバソフェナントロリンスルホン酸を加えて発色させ、比色する方法です。
 除蛋白処理による容積置換の濃縮誤差が避けられないため、標準添加法による補正を必要とします。



国際標準法(ICSH1978)による血清鉄測定操作手順


標準添加法とは


 国際標準法は除蛋白による濃縮誤差があるため、その補正の目的で行われます。
3濃度の鉄を試料に添加して測定し、その回帰式のX軸との交点により試料中の鉄濃度を求める方法です。


バソフェナントロリンスルホン酸ナトリウムに対する血液中金属の干渉について


 血液中には鉄以外にも多くの金属が含まれています。中でも干渉し得る金属は、亜鉛と銅です。亜鉛は血清中に血清鉄と同程度含まれているからです。また、銅は鉄と同じ遷移金属に分類され、多くの鉄のキレート剤が銅の干渉を受けやすいためです。


亜鉛による干渉:
 
平均的な血清中の亜鉛濃度(70~120μg/dL)の約3倍量(300μg/dL)まで干渉を受けない。
銅による干渉: 銅の濃度に依存した正の干渉をうける。


 銅による干渉を受けることから、血清中の銅濃度に相当する干渉分を補正する方法が妥当と考えられています。