測定原理
検体中の鉄(Fe)はグロブリン中のトランスフェリンと結合しています。このトランスフェリンと結合しているFe3+を酸性下で遊離させ、還元剤でFe2+に還元します。
Fe2+は2-ニトロソ-5-(N-プロピル-N-スルホプロピルアミノ)フェノール(Nitroso-PSAP)とキレート化合物を作り発色しますので、この色素を比色測定することにより検体中の鉄濃度を求めます。
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測定意義
成人では体内の鉄の総量は3~4gであり、鉄結合物のうち最も多いのがヘモグロビン鉄で65%、貯蔵鉄として30%、ミオグロビン鉄3~5%、血清鉄0.1%、含鉄酵素に0.1%含まれています。鉄の体外への喪失は1mg/日とわずかで腸からの吸収量も通常は同量です。
血清で大部分の鉄は鉄運搬能をもつ蛋白のトランスフェリンと結合しています。トランスフェリンと結合した鉄を血清鉄といい、骨髄赤芽球(赤血球の元)に取り込まれます。この骨髄赤芽球が成熟すると赤血球となります。
血清鉄を測定することにより、鉄欠乏や過剰などの鉄代謝異常が推測できます。
参考基準範囲
男性) | 54~181μg/dL |
女性) | 43~172μg/dL |
日本臨床検査自動化学会会誌,13(5),659,1988より |