測定法
血漿中のアンモニア(NH3)はニコチン酸アデニンジヌクレオチド酸化型(デアミド-NAD)の存在下でニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチドシンセターゼ(NADS)の作用を受けてアデノシン-5’-三リン酸(ATP)と反応し、β-ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチド酸化型(β-NAD)とアデノシン-’5-一リン酸(AMP)及びピロリン酸(PPi)を生じます。
このβ-NADはグルコース-6-リン酸(G-6-P)の存在下、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G-6-P-DH)の作用により還元されてβ-ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチド還元型(β-NADH)となりますので、β-NADHの吸光度の増加量を測定することによってアンモニア濃度を求めます。
測定意義
高アンモニア血症は、重症肝障害時の尿素生成能の低下(アンモニア代謝障害)、門脈副血行路の発達をきたす各種疾患(腸管内生成アンモニアが直接大循環系に流入)、先天性尿素サイクル酵素欠損症の場合にみられ、血中アンモニアの測定は肝性昏睡、肝脳症候群などの診断、治療上に重要視されています。
血漿アンモニア窒素が130μg/dL(血漿アンモニア160μg/dL)以上になると意識障害をきたす場合が多いですが、肝障害度とアンモニアの上昇は必ずしも併行せず、アンモニアの中毒作用は、持続時間と感受性に関係すると考えられています。
12~66μg/dL(アンモニア窒素濃度として) | |
日本臨床, 増刊, Vol.683, p478, 1995. |