各試薬の違い
測定法
酵素法(CE-COD-POD系)
検体中のエステル型コレステロールはコレステロールエステラーゼ(CE)の作用で、結合している脂肪酸を遊離して遊離型コレステロールとなります。このエステル型コレステロールに由来する遊離型コレステロールと、もともと存在する遊離型コレステロールは、コレステロールオキシダーゼ(COD)によって酸化分解されて過酸化水素(H
2O
2)を生成します。生成したH
2O
2にペルオキシダーゼ(POD)が作用すると4-アミノアンチピリン(4-AA)とN-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3,5-ジメトキシアニリン(HDAOS)を酸化縮合しますので、生じるキノン色素を比色測定することにより総コレステロール濃度を求めます。
測定意義
血中コレステロールは、主として低比重コレステロール(LDL)と高比重コレステロール(HDL)、一部超低比重コレステロール(VLDL)の中に存在し、総コレステロールの約2/3がエステル型で、1/3が遊離型です。エステル型コレステロールの生成は、血中でレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)の作用によって行われます。生体内の遊離型コレステロールは細胞膜、細胞の微細粒子膜、ミエリン鞘などの構成成分をなしている重要な脂質で、体内における総量は体重の0.2%程度です。
肝はコレステロール代謝の重要な臓器で、コレステロールの合成と胆汁酸への異化及び胆汁中への排泄を行い、腸管内に排泄された胆汁中のコレステロール及び胆汁酸は大部分が吸収されて肝に戻り(腸管循環)、一部は糞便中に排泄されます。肝のコレステロール合成は、1日約1g、腸管からの食事由来のコレステロール吸収量は1日0.3~0.5gで、1日の糞便中への排泄量はステロール量として0.1~0.7g、胆汁酸として0.3~0.6g程度です。血中のコレステロール濃度は、肝及び腸管におけるコレステロールの生成、吸収、異化や血中リポ蛋白代謝と密接に関係し、その測定は体内脂質代謝異常の指標として重要なものとなっています。
高値) |
家族性高コレステロール血症、家族性複合型高脂血症、糖尿病、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群、胆道閉鎖症 等 |
低値) |
家族性無βリポ蛋白血症、Anderson病、Tangier病、甲状腺機能亢進症、肝実質障害、Addison病、吸収不良症候群、低栄養 等 |
総コレステロール参考基準範囲
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120~220mg/dL |
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(金井 他,臨床検査法提要,改訂33版,p.464, 2010.) |