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ケトン体

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4タイプのケトン体測定用試薬


ケトン体とは何か

ケトン体は脳の非常用エネルギー


 脳は通常グルコースからしかエネルギーを得られないことはよく知られていますが、グルコースを得られない場合(糖代謝異常である糖尿病や飢餓状態のとき)には、グルコースではなくケトン体という別の物質を代替エネルギー源として利用します。
 ケトン体は肝臓でアセチルCoAという物質から変換して作られます。通常アセチルCoAは、糖を代謝する過程と脂肪酸を代謝する過程(β酸化)、アミノ酸の代謝によって生成され、クエン酸(TCA)回路においてエネルギー(ATP)を産生します。糖尿病や飢餓状態で糖が不足しているときには、クエン酸(TCA)回路でアセチルCoAを利用できずエネルギーが不足し、さらに糖代謝過程で産生されるアセチルCoA量が減少するためβ酸化が亢進します。このとき生成されるアセチルCoAをケトン体に変換し、代替エネルギーとして利用します。




3つのケトン体


 ケトン体には、アセトン、アセト酢酸(AcAc)、3-ヒドロキシ酪酸(3-HB)の3種があり、総称してケトン体と呼びます。アセト酢酸と3-ヒドロキシ酪酸は血中に移行し他の臓器でエネルギーとして利用されますが、除光液でよく知られているアセトンは揮発性がとても高いため、吐く息とともに排出されます。このため血液検査ではアセトンを除いた、アセト酢酸と3-ヒドロキシ酪酸を合わせたものを総ケトン体として測定しています。




ケトン体の何が問題?


 ケトン体は脳の代替エネルギーとして有用ですが、血中に過剰に存在するとケトアシドーシスを引き起こします。
 肝臓で作られたケトン体は血流によって運搬されます。血中に移行するケトン体は「アセト酢」「3-ヒドロキシ酪」というように酸性を示します。血液は通常pH7.4程度の弱アルカリ性ですが、ケトン体が増加すると、血液は酸性に傾きます。このように酸性に傾いた状態をアシドーシスとよび、ケトン体の増加によるアシドーシスをケトアシドーシスと呼びます。アシドーシスになると、脱水、中枢障害や昏睡などが起こり、最悪の場合死に至ることもあります。
 適切な糖尿病治療計画の立案や、肥満者におけるエネルギー制限の効果チェックの指標としてケトン体を測定することで、ケトアシドーシスを回避することができます。


測定法

酵素サイクリング法~「セロテック」ケトン-T、「セロテック」3-HB


ケトン-Tと3-HBは酵素サイクリング法です。
 3-ヒドロキシ酪酸(3-OHBA)は補酵素であるチオニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチド酸化型(Thio-NAD)の存在下でD-3-ヒドロキシ酪酸脱水素酵素(3-HBDH)の作用を受けてアセト酢酸(AcAc)となります。
 また、AcAcは補酵素であるβ-ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチド還元型(β-NADH)の存在下で3-HBDHの作用を受けて3-OHBAに戻ります。
 この3-HBDHの酵素反応速度は、反応を開始する前に存在する3-OHBAとAcAcの総量に比例し、チオニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチド還元型(Thio-NADH)の増加速度でとらえることができます。「セロテック」ケトン-Tはこのように総ケトン体を測定します。
 一方、3-ヒドロキシ酪酸を測定する「セロテック」3-HBの場合は、第一試液中でアセト酢酸脱水素酵素(AADC)を作用させて、試料中にあらかじめ存在するAcAcをアセトンと二酸化炭素に分解消去します。つづいて検体中の3-OHBAによるThio-NADHの吸光度増加速度を測定することにより、3-OHBA濃度が求められます。
 なお、AADCの酵素作用は第二試液と混合されることにより速やかに停止するので、3-HBDHの作用によって生じるAcAcはAADCによって分解されません。


酵素法(3-HBDH-UV法)~「セロテック」ケトン-H、「セロテック」ケトン-A


ケトン-Hとケトン-Aは酵素法(3-HBDH-UV法)です。
 測定対象(3-HBあるいはAcAc)にβ-NADあるいはβ-NADHの存在下3-HBDHを作用させると、AcAcあるいは3-HBが生成されます。
 この時のβ-NADHあるいはβ-NADの生成に伴う吸光度の変化量を測定することにより求めます。


参考基準範囲

総ケトン体 28~120μmol/L
3-ヒドロキシ酪酸 0~74μmol/L
(日本臨牀, 増刊第4版, p.603, 1995.)
アセト酢酸 13~69μmol/L
(Harano Y.,et al.,Clin.Chim.Acta, Vol.134, p.327, 1983.)