亜鉛について
Zn は生命維持に不可欠な微量元素の1 つであり, DNA ポリメラーゼ, RNA ポリメラーゼ, アルカリホスファターゼ等300 余種の金属酵素の活性中心元素として, 細胞分裂や核酸代謝をつかさどり, 発育, 成長, 創傷治癒, 免疫能, 皮膚代謝, 脳における神経伝達,網膜の維持, 味覚や嗅覚, 唾液の分泌, 精子の産生や活動性等, 様々な生体機能に関与しています。
したがって, Zn 欠乏症は多彩な症状をきたす原因となります。
Zn欠乏症の症状
発育遅延、異常・性的発育遅延・精子減少、無月経・貧血・免疫低下（易感染性）・夜盲症（暗順応障害）・皮膚症状、脱毛・食欲不振、減退・味覚障害（味覚異常）・臭覚異常・下痢（反復性、持続性）・口内炎・褥瘡・創傷治癒遅延・精神状態の異常（うつ・情緒不安定）・耐糖機能低下・発癌増加
臨床的意義
Zn 欠乏症の主な原因としては, 摂取量の低下, 慢性的な下痢等による吸収障害, Zn にキレート能をもつ薬剤の投与, 肝障害等が挙げられ、上記に示したような臨床症状を呈します。
特に褥瘡にはZn が密接に関与しており, 経腸栄養および静脈栄養管理時における補充が問題となります。
また、Zn はCu と拮抗して吸収されることから, 単に絶対量だけではなく, Cu との量比も考慮する必要があるとされています。
